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AIカメラでの火災検知

工場や倉庫で火災が起きると、設備や在庫が失われるだけではありません。操業が止まり、取引先への納品にも影響が出ます。消防庁によると、工場・作業場の火災は令和6年に1,866件発生しました。令和7年は概数で1,803件とされています。

夜間や休日は、現場の人数が減ります。広い敷地では、巡回だけでは目が届きにくい場所もあります。また、建物の構造や設置環境によっては、火災の煙や熱が感知器に到達するまで時間がかかる場合もあります。

そこで活用できるのが、映像から炎や煙などを検知するAIカメラです。本記事では、火災検知の仕組みや従来の火災感知器との違い、活用場面、導入前の注意点、選び方を解説します。

参照元:ALSOK「工場火災の原因と対策」:https://www.alsok.co.jp/corporate/recommend/factory-fire.html

AIカメラによる火災検知とは

AIカメラによる火災検知は、カメラ映像をAIなどで解析し、映像に現れる炎や煙などの特徴から火災の可能性を判定する仕組みです。製品によって検知対象や判定方法は異なります。

映像から炎と煙を検知する仕組み

火災検知に対応したAIカメラでは、映像に現れる炎や煙などの特徴を画像解析・AIによって判定します。製品によっては、学習済みのAIモデルなどを利用し、映像中の特徴から火災の可能性を検知します。

AIによる解析をカメラ側で行う「エッジAI方式」と、サーバーやクラウド側で解析する方式があります。エッジAIでは、主要な映像解析処理をカメラ側で行うため、映像を外部へ送って解析する構成と比べて、通信量や通信に伴う遅延を抑えやすいという特徴があります。ただし、検知結果や画像、映像などを外部へ送信するシステムもあるため、「エッジAIならデータを一切送信しない」とは限りません。

また、熱画像を取得するサーマルカメラを利用して、設備の温度上昇を監視する方法もあります。配電盤やモーターなど、温度異常が発生する可能性のある設備では、異常な温度上昇を早期に検知し、点検や設備停止などの対応につなげられる場合があります。

サーマルカメラによる温度異常の監視と、ガス漏れを検知するガス検知器は別の仕組みです。ガス設備を監視する場合は、必要な検知対象に応じて適切なセンサーや設備を選定する必要があります。

詳しくはAIカメラでの電気・ガス等の遠隔監視の記事で紹介しています。

従来の火災感知器との違い

消防用の火災感知器には、煙・熱・炎などを検知する方式があります。設置場所や用途に応じて適切な感知器が選ばれます。

一方、AIカメラは、カメラの視野に入った炎や煙などを映像から検知します。両者は検知する現象や仕組みが異なるため、単純にどちらか一方を選ぶものではありません。AIカメラは、既存の防火体制を補完する用途で活用できます。

火災感知器 AIカメラ
検知の仕方 熱・煙・炎など、感知方式に応じた現象を検知 映像から炎や煙などの特徴を解析して検知
状況の確認 発報後に現場を確認する運用が基本 対応するシステムでは、通知とあわせて現場映像を確認できる
記録 発報履歴などを記録 映像を保存する構成では、発生状況の振り返りに活用できる
注意したい点 建物の構造や天井高さ、感知器の種類・配置などを踏まえた設計が必要 強い光や蒸気など、火炎・煙と類似する映像が誤検知につながる場合がある

検知後に起きること

火災の可能性を検知すると、対応するシステムを通じて管理者のスマートフォンなどへ通知できます。パトライトやスピーカーなどと連動させれば、現場の作業員に異常を知らせる構成も可能です。

対応するシステムでは、通知とあわせて現場映像を確認できます。これにより、管理者が現場へ向かう前に状況を把握し、消防への通報や避難誘導など、あらかじめ定めた初動対応につなげやすくなります。初期消火を行う場合も、消防計画や現場の安全基準に従って対応することが重要です。

AIカメラ全体の異常検知の考え方は、AIカメラによる異常検知機能の記事でも解説しています。

製造・物流・インフラの現場で火災の早期発見が課題になる理由

なぜこれらの現場では、火災を早期に把握することが重要なのでしょうか。発生状況と原因から整理します。

工場・作業場火災は年間1,800件超

消防庁によると、令和6年の建物火災は20,972件でした。そのうち工場・作業場火災は1,866件で、建物火災全体の8.9%を占めています。建物火災の出火件数を用途別に見ると、住宅、特定複合用途に次いで3番目に多い区分です。

なお、令和7年の工場・作業場火災は概数で1,803件とされています。統計を参照する際は、確定値と概数を区別する必要があります。

東京消防庁の統計では、令和6年中の工場・作業場火災による負傷者は46人でした。

参照元:消防庁「令和7年版 消防白書」:https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r7/chapter1/section1/para1/69235.html

主な出火原因として挙げられるもの

ALSOKは、工場火災の原因として次の5つを挙げています。これはALSOKによる整理であり、全国の工場火災について消防庁が定めた「原因上位5項目」という意味ではありません。

リチウムイオン電池は、ごみ処理施設でも火災原因として問題になっています。PFUは2025年の発表で、国内の廃棄物処理施設において、リチウムイオン電池が原因となる火災事故が年間1万件以上あると報告されていると説明しています。

参照元:MONOist「年間100億円の火災被害解消に向け AIでLiBを検知するエンジン発売」:https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2511/07/news028.html

夜間や広い敷地では発見が遅れる場合がある

製造・物流・インフラの現場では、夜間や休日に人員が少なくなる場合があります。人手不足などによって、巡回の回数を増やすことが難しいケースもあります。

例えば、敷地の端にある資材置き場や、天井の高い倉庫の上部などは、巡回だけでは状況を確認しにくい場合があります。一般に、火災の発見や初動対応が遅れると、延焼や被害拡大のリスクが高まります。

AIカメラの火災検知が役立つ場面

ここからは、現場別に活用の考え方を紹介します。

工場の配電盤・電気設備の監視

電気設備は工場火災の原因の一つです。サーマルカメラを利用した監視システムでは、配電盤などの設備表面の温度を継続的に監視し、設定した条件を超える温度上昇を検知して通知する構成が可能です。

異常な温度上昇を早期に把握し、点検や設備停止などの対応につなげる使い方が考えられます。ただし、温度異常が必ずしも火災を意味するわけではないため、検知条件や対応方法をあらかじめ決めておくことが重要です。

製造現場全体の活用は、製造業・工場におけるAIカメラ活用事例で紹介しています。

倉庫・資材置き場の監視

倉庫には、梱包材や段ボール、充電中のバッテリーなど、可燃物や発熱・発火のリスクがあるものが集まる場合があります。天井の高い建物では、建物の構造や感知器の配置などによって、煙の検知に時間がかかる場合もあります。

AIカメラは、適切な画角や設置位置を選定することで、広い範囲を映像監視できる場合があります。対応する通知システムと連携すれば、夜間や無人時間帯に異常を検知した際、管理者へ通知する運用も可能です。

屋外・広大な敷地・森林の監視

屋外では、建物内の火災感知器のような設備を設置しにくい場所があります。そのため、カメラ映像を利用して炎や煙を早期に検知するシステムが活用される事例があります。

海外では、AIなどを利用した森林火災の自動検知システムも導入されています。フランスの事例では、カメラを利用して最大20km圏内の領域を継続的に監視し、撮影画像を解析して火災の検知・位置特定を行う仕組みが紹介されています。

ただし、森林と工場・物流施設では環境条件や検知対象が異なるため、同じシステムをそのまま導入できるとは限りません。広大な敷地を持つインフラ施設などでも、現場条件に応じたシステム設計が必要です。

林業での活用は、林業におけるAIカメラ活用事例でも取り上げています。

参照元:iDS「Fire detected, fire banned」:https://jp.ids-imaging.com/casestudies-detail/fire-detected-fire-banned.html

導入前に知っておきたい注意点

導入前に確認したい点は、主に3つあります。

誤検知への対策

炎や煙と似た特徴を持つ映像があると、AIが火災と誤って判定する場合があります。例えば、強い光や反射、溶接作業、蒸気などが影響する可能性があります。

導入前には、実際の現場環境を想定した検証を行いましょう。検知エリアを調整したり、カメラの設置位置や角度を変更したりすることで、誤検知を抑えられる場合があります。

また、製品を比較する際は、単に「検知率」だけを見るのではなく、どのような環境・距離・対象物を条件として試験した数値なのかを確認することも重要です。

消防設備との関係

AIカメラを設置しただけで、消防法令上必要となる消防用設備等の設置義務がなくなるわけではありません。AIカメラは、既存の防火体制を補完し、火災の早期把握や現場状況の確認などに活用するものとして考えるのが基本です。

一方、消防用設備等には、一定の要件を満たす場合に性能規定や特殊消防用設備等の制度が適用される場合があります。具体的な設備の設置義務や代替の可否は、建物の用途・規模・収容人員・構造などによって異なるため、所轄消防署や消防設備の専門業者に確認してください。

設置環境に合ったスペックの確認

粉じんや水、油煙、洗浄水などの影響を受ける現場では、環境に応じた防塵・防水性能を持つカメラを選ぶ必要があります。必要なIP等級は、設置場所や想定される水・粉じんの影響などを踏まえて確認しましょう。

可燃性ガスや蒸気などが存在する危険場所では、通常のカメラをそのまま設置できない場合があります。設置場所の危険度や分類に適合した防爆構造などの電気機器を選定する必要があるため、専門業者に確認してください。

火災検知に対応したAIカメラの選び方

製品を比べる際は、次の4つの軸で整理すると違いが見えやすくなります。

先に、自社の現場で火災リスクが高い場所を書き出しておくと、必要な機能を絞り込めます。電気室なのか、倉庫の上部なのか、屋外の資材置き場なのか。場所が決まれば、検知対象と設置環境の条件も整理しやすくなります。

また、AIカメラは「映像として見える範囲」と「AIが火災を検知できる範囲」が必ずしも同じではありません。メーカーが公表している検知距離や検知対象の大きさ、設置条件なども確認しましょう。

AIカメラ製品・メーカーの
一覧を見る

まとめ

AIカメラによる火災検知は、映像から炎や煙などの特徴を検知し、対応するシステムを通じて管理者などへ通知する仕組みです。夜間の無人時間帯や広い敷地などで、火災の可能性を早期に把握し、初動対応につなげる手段として活用できます。

また、サーマルカメラを利用すれば、配電盤などの設備の温度上昇を監視し、異常の早期把握につなげることもできます。ただし、温度異常の検知と火災検知は同じものではありません。

AIカメラは、消防用設備等を単純に置き換えるものではありません。誤検知への対策や、消防設備との役割分担、設置環境への適合性を確認したうえで、既存の防火体制を補完する設備として導入することが重要です。

まずは現場の火災リスクが高い場所を書き出し、炎・煙・温度異常のどれを検知したいのか、どの範囲を監視したいのかを整理してから製品を比較しましょう。当サイトの製品一覧では、用途に合うAIカメラを探せます。

「防犯・犯罪検知」「店舗分析」「不良品分別」
目的にあった強みを持つおすすめのAIカメラ3選はこちら

目的にあった強みを持つ
AIカメラ3選

AIカメラは、搭載されている機能によって得意分野が異なります。導入目的の中でも需要の高い「店舗分析」「防犯・犯罪検知」「不良品分別」に対して強みを持つAIカメラをご紹介します。

防犯・犯罪検知 向け

探したい映像を数秒で特定
少人数で負担をかけずに
異常を見逃さない体制を築きたい

AVIGILON((アビジロン))
AVIGILONのHPキャプチャ
引用元HP:テレコム
https://www.landingpage-synergy.com/P4w8zE1k/
AIカメラの特徴
  • 自然言語の指示で、発生中の異常をリアルタイムで検知。直感的に扱えるため、初動対応を早めることができる。
  • 過去の映像を複数カメラから数秒で横断検索。状況を瞬時に把握することで、被害の防止につながる。
  • 最大10K画質で夜間でも車両番号まで捉え、特許技術で通信負荷を抑えた安定接続を実現。犯罪抑止に貢献する。

AVIGILONの販売元
テレコムの公式HPで
詳しい事例を見る

店舗分析 向け

来店客数と買上率を正確に把握し
感覚に頼らない店舗運営で
売上アップを狙いたい

ABEJA Insight for Retail
ABEJA Insight for Retail
引用元HP:ABEJA
https://www.abejainc.com/insight-retail-main
AIカメラの特徴
  • ネットワークカメラの画像から来店人数や年齢・性別推定、店内の回遊・滞留などのデータを取得し、顧客の行動を可視化できる。
  • POS(売上データ)などと連携し、来店者に対する「買上率」といった店舗運営の重要指標を自動で算出・分析できる。
  • 取得したデータはクラウド上のダッシュボードで一元管理され、複数店舗の状況を横断的に比較・評価し、迅速な経営判断や施策改善に役立てられる。

ABEJA Insight for Retailの
公式HPで
詳しい事例を見る

不良品分別 向け

人手をかけずに不良品を即分別
システム連携で、
ムダなくスムーズに流したい

XG-X シリーズ
キーエンスのHPキャプチャ
引用元:キーエンス
https://www.keyence.co.jp/products/vision/vision-sys/xg-x/
AIカメラの特徴
  • 高性能プロセッサ搭載で高解像度画像をリアルタイム処理し、複数検査項目を同時に判定できる。
  • 多彩なカメラ・照明の組み合わせで微細なキズや異物混入を正確に検出し、適切な撮影環境を実現できる。
  • 彩度・濃淡解析など高度なアルゴリズムで異物や汚れを瞬時に判別し、不良品をスムーズに分別できる。

XG-X シリーズの
公式HPで
詳しい事例を見る

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