鳥獣被害対策は、担い手の減少や高齢化などといった背景から、最新技術の活用が求められています。既に一部の地域ではAIやICTなどの新しい技術を取り入れた害獣対策をおこなっていて、効果的に防止することができるようになっています。このページでは中でも「AIカメラ」に注目し、活用事例などを紹介していきます。害獣・危険動物の対策にお困りの方・AI技術を活かしてより効果的な害獣対策を施したいと考えている方は、ぜひチェックして参考にしてください。
秋田市では自動撮影機能があるカメラでクマを撮影するAIカメラの使用が検討されています。人工知能技術を駆使することで99%もの確率でクマだと判断することが可能であり、市内の公園などに設置して利用者に対する注意喚起を行う方針であると報道されています。このAIカメラは撮影した画像がクマであると人工知能が判断した場合、担当者にすぐ通知する機能が搭載されています。せっかく設置するので、迅速かつ効果的な通知方法についても検討が深められています。
参照元:ABS秋田放送: https://news.ntv.co.jp/n/abs/category/life/abefd50db36558469781cc07a9426f7654
オーストラリアの海岸線上空ではドローンがホバリングしながら撮影を行っています。操縦しているのはサーフライフセーバーであり、海岸で海水浴場に近づこうとするサメを発見するために撮影を行っています。もともとは60%程度の確率で正しい判断を下すソリューションでしたが、AIサメ検知器をプラスアルファすることにより80%もの確率でサメをフレーム単位で識別することに成功しています。
参照元:Forbes: https://forbesjapan.com/articles/detail/60019
シカやイノシシなどといった大型獣の生息域・個体数についてドローンでの調査を行い、その撮影データをAI画像解析システムで自動解析するソリューションが提供されています。ドローンを自律飛行することで効率的に調査範囲を撮影することができ、生息位調査は夜間に赤外線カメラを使って行います。さらに撮影したデータからCSVファイルを抽出することが可能であり、個体数や緯度経度情報、天候データ、撮影日時などの情報を把握・管理することができます。
参照元:SkySeeker:https://skyseeker.jp/investigation/
日本遮蔽技研は、AIを活用した獣害対策「あいわなクラウド」を提供しています。センサーカメラが動物を検知し、画像をサーバーに送信、AIがイノシシ、シカ、サル、クマを特定します。撮影した時間や場所の情報が担当者に即時通知され、巡回監視の負担を軽減します。また、動物の移動ルートや生態調査にも役立ちます。
さらに無人警戒サービス「VIGILA」も展開。侵入者検知時に警告を発して被害を抑える仕組みで、効果的な獣害対策とセキュリティ強化を実現しています。
参照元:自治体DX推進協議会:https://www.gdx.or.jp/column/ai-image.html
山梨県山梨市は、「フルーツ王国」としてぶどうやもも、さくらんぼ、いちごなど、多品種の果樹栽培が行われています。その一方で、市内ではシカ、サル、イノシシといった野生鳥獣による農作物被害が深刻化しており、地域住民や果樹園農家、猟友会などが対策に苦慮しています。こうした状況を受け、対策としてカメラ搭載害獣捕獲センサーの実証が進められています。捕獲センサーは、毎日2回撮影を行い、罠の状態やエサの状況を確認するとともに、捕獲時にはAIが獣種を自動解析し、静止画像付きで関係者に通知を送信する仕組みです。
この取り組みは、鳥獣対策の効率化に加え被害軽減策のさらなる精度向上に寄与すると期待されています。
参照元:株式会社 電信:https://www.densin.co.jp/product_iot/4395/
害獣・危険動物の対策を行うにあたっては危険が伴います。そのため生身の人間が動画を撮影したり実際に捕獲しての分析は大きなリスクを伴います。しかしAIカメラを導入すると害獣・危険動物を安全に撮影することができます。さらにAIは学習することが可能ですので、対象となる動物の映像などを学ばせることにより撮影にあたっての精度も向上していきます。
AIカメラを用いることにより24時間撮影が可能になります。これはマンパワーの調査では不可能な範囲にまで調査を拡大することができるということですので、より多くの情報を集めることができます。どの時間帯にどれくらいのどんな動物がどういう活動をしているのかなど、かなり具体的なデータを取ることができますので次の対策に活かすことができます。
撮影した動画データは人間が見返すと、かなりの時間を要してしまいます。2倍速や3倍速で再生したとしても、1日分のデータを確認するのに8時間はかかってしまうでしょう。しかしAI技術を活かすことにより、動画データ内から動物の出現や数、行動などをデータとして定量化することができます。データの収集から分析までを自動で行うことができますので、人間はそのあとの「データを見て次の意思決定を行う」という重要なプロセスにしっかりと集中することができます。
AIカメラと通常のカメラの最大の違いは、人工知能を搭載していることによる追加機能です。自動で撮影した鳥獣を判別することができる点、収集したデータを自動で集計・分析することができる点、撮影時のデータから学習して判別制度を上げていける点など、AI技術ならではの強みがAIカメラの魅力です。AIカメラを選ぶ際にはどういった機能が搭載されているか、データ化して活用がしやすそうか、多くのデータを集めることでより利便性が高まるものかなどに着目することをおすすめします。
害獣対策として様々なツールが活用されていますが、従来のツール単独では限界があることも事実です。そこで注目されているのが、AI監視カメラと既存の獣害対策ツールを組み合わせることで、より効率的かつ効果的な防御を実現する方法です。
AIカメラと電気柵を組み合わせることで、電気柵が物理的に害獣の侵入を防ぎつつ、突破される場合にもAIカメラが即時に侵入を検知して通知を行い、迅速な対応が可能になります。この2つを組み合わせることで防御ラインを二重にし、被害を最小限に抑えるための効率的な対策として機能します。
超音波装置が害獣の侵入を威嚇音で防ぐ一方、AI監視カメラが害獣の接近を検知した際のみ装置を起動することで無駄な稼働を減らしつつ、害獣が超音波自体に慣れるリスクを低減できます。超音波装置の効果を最大化し、エネルギー効率の向上や周囲環境への配慮を実現します。
AI監視カメラは害獣の行動を観察し、そのデータを基に捕獲トラップの設置場所やタイミングをより効果的なものにします。この連携で捕獲トラップの成功率が向上し、無駄な設置や手間を減らすことで、捕獲作業全体の効率化を可能にします。
【用途別】AIカメラ解説
AIカメラのできることは種類による違いがあり、大きく分けると「分析・マーケティング」「従業員管理」「防犯対策」の3つに商品分類されます。まずはそれぞれにどのような機能があり、どのような役割を果たすのか知りましょう。
店舗や街の人流データ収集を中心に、来店者の性別・年齢分布や行動パターン分析を行うAIカメラです。
駐車場の混雑度や店舗・イベント会場での購買行動を可視化でき、マーケティング戦略の最適化や経営改善に貢献します。工事不要で既存の防犯カメラを活用でき、低コストで導入可能な点も魅力です。
入退室管理や勤怠管理など、従業員管理の効率化を実現するAIカメラです。
高精度な顔認証機能により、マスク着用時でも正確な識別が可能で、顔認証や指紋認証などの生体認証の他にカード認証、番号認証にも対応。
情報漏洩防止や無人店舗の運営支援など、セキュリティと効率を兼ね備えたツールとして活用されています。
人の行動をリアルタイムに解析し、万引きや暴力行為、不審者の検知を行う防犯対策特化型のAIカメラです。
異常行動の早期発見や即時通知機能を備え、事件や事故の未然防止を実現します。
小売店や公共施設など、さまざまな現場で安全管理の強化に寄与しています。
選定条件:
2022年4月20日、Google検索した上位26社のうち、「分析・マーケティング」市場で最も価格が安い「メバル」、「従業員管理」市場で最も外部システムと連携できる「SECURE」、「防犯対策」市場で最も導入事例が多い「VAAKEYE」として選出しました。