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橋梁やプラント、工場設備などのインフラ点検では、広範囲を限られた人員で確認する必要があり、点検・巡回業務の負担が課題となる場合があります。夜間や休日の巡回、高所・危険エリアでの確認など、安全確保のために準備や手順が必要な業務も少なくありません。
こうした点検・巡回業務では、AIカメラや画像解析、センサーなどの点検支援技術を活用することで、一部の確認作業を効率化できる場合があります。ただし、法令や管理基準に基づく定期点検、専門家による診断・判定などを、AIカメラだけで一律に代替できるわけではありません。
このページでは、AIカメラや画像解析システムを活用したインフラ点検の効率化について、できることと導入時に確認しておきたい基準を整理します。導入を進める際の具体的なステップもあわせて紹介しますので、点検・巡回業務の効率化を検討している担当者の方は参考にしてください。
AIカメラや画像解析システムの活用を検討する前に、点検・巡回業務で生じやすい課題を整理します。
保全担当者の数が限られていると、必要な点検頻度を確保することが課題になる場合があります。広い敷地や複数拠点を抱える現場では、すべての設備を定期的に確認するために多くの人員や時間が必要になります。
目視による点検では、点検者の経験や技能、現場の照明・視認性などの条件によって、確認結果にばらつきが生じる可能性があります。特に、目視だけでは把握が難しい微細なひび割れや表面の変化については、画像を記録して継続的に比較する方法が活用される場合があります。
高所の設備や可燃性ガス等を扱う危険場所など、人が直接立ち入る際に安全上の配慮が必要な場所もあります。安全確保のための準備や手順が増えるほど、点検にかかる時間や負担も大きくなります。
AIカメラや画像解析システムを活用すると、これまで人が行っていた点検・巡回業務の一部を自動化・省力化できる場合があります。対象となる異常や必要な精度に応じて、カメラだけでなく温度センサーや振動センサーなどを組み合わせることも重要です。
サーマルカメラは、配電盤やモーターなどの設備表面の温度分布や温度変化を監視する用途に活用できます。設定した条件を超える温度変化を検知した際にアラートを発する仕組みを構築すれば、異常を早期に把握し、追加点検や保全計画を検討するきっかけにできます。
一方、設備の振動を監視する場合は、加速度センサーなどの振動センサーを利用する構成も一般的です。温度や振動などのデータを継続的に取得し、設備の状態変化を把握することで、保全業務を支援できます。
なお、「予知保全」は単に異常を検知することではなく、設備の状態や過去のデータなどを分析して、故障や劣化の兆候を把握し、保全時期の判断につなげる考え方です。そのため、AIカメラによる異常検知と予知保全は、同じ意味ではありません。
画像解析技術を利用すると、構造物表面のひび割れや変色など、画像から確認できる損傷・変化を自動検出できる場合があります。対象物、撮影距離、解像度、照明、表面状態などによって検知性能が変わるため、実際の設置環境で事前に性能を確認することが重要です。
また、人が定点で撮影した画像やカメラから継続的に取得した画像を過去の画像と比較することで、同じ場所の経時的な変化を確認しやすくなります。AIによる検出結果は、必要に応じて人が確認するなど、既存の点検手順と組み合わせて運用することが重要です。
道路橋などの定期点検では、点検支援技術を活用できる場合がありますが、AI画像解析だけで点検や診断が完結するとは限りません。適用する制度や管理基準、対象構造物、使用する技術の性能・適用条件を確認する必要があります。
カメラ映像をOCR・画像解析するシステムを利用して、アナログメーターの数値を読み取り、遠隔から確認する仕組みもあります。AIカメラでの電気・ガス等の遠隔監視を導入すれば、現場での目視確認や転記作業を減らし、夜間や休日の巡回にかかる負担の軽減が期待できます。
ただし、メーターの種類や表示形式、照明、カメラの設置位置などによって読み取り精度が変わるため、導入前に実際の環境で確認することが重要です。
点検業務にAIカメラや画像解析システムを取り入れる際は、AI機能だけでなく、設置環境や既存設備との連携、運用方法まで確認してください。
可燃性ガスなどが存在する危険場所にカメラを設置する場合は、対象となる危険場所や使用条件に応じて、国内の防爆に関する規格・制度への適合を確認する必要があります。日本国内で使用する機器については、単に「国際的な防爆規格に適合している」というだけで判断せず、必要な防爆構造や型式検定等について確認してください。
また、屋外に設置する場合は、防塵・防水に関するIP等級だけでなく、使用温度範囲、耐候性、耐腐食性、耐塩害性、耐振動性など、設置場所に応じた仕様も確認することが重要です。
すでに社内で使用している点検記録システムや保全管理ソフトと連携できるかどうかも重要な基準です。既存カメラをAI化する仕組みを活用すれば、既存のカメラ設備を活用し、カメラ交換の範囲を抑えながらAI解析機能を追加できる場合があります。
ただし、既存カメラの解像度や映像形式、設置位置、ネットワーク環境などによって対応可否が異なるため、導入前にシステム構成を確認してください。
山間部や屋外の広い敷地では、電源や通信環境が十分に整っていない場所に機器を設置することがあります。商用電源や固定回線を確保しにくい場所では、ソーラー給電と蓄電池、LTEなどのモバイル通信を組み合わせた構成が選択肢になります。
ただし、ソーラー給電やLTE通信に対応しているだけで、災害時にも安定稼働できるとは限りません。必要な連続稼働時間、バッテリー容量、日照条件、通信エリア、通信障害時のデータ保存方法などを事前に確認することが重要です。
機器の性能だけでなく、点検基準や現場環境との適合性を確認したうえで、段階的に導入を進めることが重要です。
まず、点検したい設備や構造物、検知したい異常の種類を具体的に整理してください。温度上昇なのか、振動なのか、ひび割れなどの外観変化なのかによって、必要なカメラやセンサー、解析機能は変わります。
また、法令や社内基準などによって必要な点検方法が定められている場合は、AIカメラによる監視・検知がどの工程を支援できるのかを事前に確認しておく必要があります。
温度や粉塵、可燃性ガスの有無、屋外・屋内の別、電源、通信環境など、設置候補場所の条件を事前に調査してください。危険場所に該当する場合は、防爆に関する必要な規格・制度への適合も確認します。
環境条件を把握しておくことで、機器選定の段階で必要な仕様を満たしていないという事態を防ぎやすくなります。
本格導入の前に、対象設備の一部でテスト運用を行い、実際の環境で狙った異常を検知できるかを確認します。
この際は、単に「検知できたか」だけでなく、誤検知や見逃しの発生状況、画像の品質、アラート後の対応時間、既存の点検業務に与える影響なども確認すると、実運用に適したシステムか判断しやすくなります。
検証結果は、導入する台数や予算、運用方法を固める際の判断材料になります。
インフラ点検にAIカメラを活用する方法は、遠隔監視だけにとどまりません。水処理施設のマンホールポンプなど、カメラ映像やセンサーデータから設備の異常や状態変化を検知し、保全業務を支援する仕組みもあります。
自社の点検対象に近い活用例を確認しながら、必要な機能を見極めてください。特に、画像から判断できる異常なのか、温度・振動・電流など別のデータが必要なのかを整理すると、適切なシステムを選びやすくなります。
災害の多い地域や、電源・通信インフラが不安定な現場も点検対象に含まれることがあります。こうした環境では、AIカメラでの災害対策で紹介しているソーラー給電やSIMを利用したモバイル通信など、現場の電源・通信条件に対応した構成も選択肢になります。
ただし、災害時の運用を想定する場合は、停電時の連続稼働時間や通信障害時のデータ保存なども含めて、システム全体の可用性を確認することが重要です。
インフラの点検・巡回業務では、人員や時間の制約に加え、高所や危険場所での作業などが負担となる場合があります。AIカメラや画像解析、温度・振動などのセンサーを適切に組み合わせることで、画像による異常検知や設備状態の監視、メーターの遠隔確認など、点検業務の一部を効率化できる可能性があります。
一方で、AIカメラによる検知結果だけで法定点検や専門家による診断を代替できるとは限りません。対象となる法令・管理基準や、使用する技術の性能・適用条件を確認したうえで、既存の点検手順と組み合わせて活用することが重要です。
導入時は、点検対象と検知したい異常を明確にし、設置環境に適した機器規格や通信・電源条件を確認してください。そのうえで小規模なテスト運用を行い、検知性能だけでなく、誤検知や見逃し、運用負荷なども検証してから本格導入を進めるとよいでしょう。
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